結婚式といえば、ステンドグラスのあるチャペルでバージンロードを歩き、誓いのキスをし…
そんなイメージが一般的だろう。
私自身、かつてレストランウェディングの会場で働いていたこともあり、自分も時もそのような挙式だったのでそれが「標準」だと思っていた。
しかし先日、7歳離れた末の妹が挙げた式は、私の既成概念を鮮やかに塗り替えてくれた。
場所は、明治神宮。
和装で執り行われたその式は、これまでに経験したことのない、驚きと感動の連続だった。
1. 数百人のカメラに囲まれる「伝統という舞台」
一番の衝撃は、挙式の始まりを告げる「参進の儀」だ。
新郎新婦が巫女さんに先導され、赤い大きな傘を差し掛けられて境内を歩く。その後ろを親族である私たちが静かに続く。
明治神宮は、言わずと知れた世界的な観光地だ。
通路が規制され、そこには何百人もの海外観光客が詰めかけていた。
彼らの視線の先には、静謐で独特な日本の結婚式。一斉にカメラが向けられ、シャッター音が鳴り響く。
かつて私は役者として舞台に立っていたこともあるが、その感覚とは全く違った。
舞台は「観に来ている人」が相手だが、ここは「たまたま居合わせた世界中の人々」が観客だ。
不思議と恥ずかしさはなかった。
むしろ、「日本の伝統美を体現する一員として、正しく歩かなければならない」という、心地よい責任感に背筋が伸びた。不特定多数の人にこれほど注目される経験は、一生に一度あるかないかだろう。
まさに、スターになったような気分だった。

2. 「光合成」で生きていた妹の晴れ姿
主役である妹は、私とは7歳も年が離れている。
正直、子供の頃に一緒に遊んだ記憶はほとんどない。私の記憶にある妹は、とにかく活発なクセに、驚くほど飯を食わない子供だった。「こいつは光合成をして生きているんじゃないか」と家族で笑っていたくらいだ。
そんな妹が、白無垢に綿帽子を纏い、凛として目の前に現れた。
これが見事なまでに似合っていた。
手前味噌だが、「さすが俺の妹だ」と思わずにはいられないほど美しく成長したものだ。

3. 伝統の殻を破る「今時」の演出
厳かな儀式のあとの披露宴は、一転して現代的で遊び心に溢れていた。
目を引いたのが、二人の生い立ちを紹介するVTRだ。
Netflixの画面構成をパロディにした映像で、その発想の面白さに「今時だなぁ」と感心させられた。
私の結婚式の時のOP映像や途中のVTRは、外注費用削減の為に私が作った。
お金が無かった。というのも理由の一つだが、おかげで動画編集を覚え、今のYouTubeチャンネル運営にもつながる。
またさらに盛り上がったのが、乾杯の「鏡開き」だ。
妹たちは、一緒に木槌を振るう相手として、80歳の私たちの祖母を指名した。
晴れやかな舞台で孫と一緒に鏡開きをする祖母の、本当に嬉しそうな、誇らしげな表情が今も目に焼き付いている。伝統を大切にしながらも、ゲストを楽しませる配慮に満ちた、素晴らしい演出だった。

4. 「神前式」という選択肢
披露宴で提供された和食も絶品で、五感すべてが満たされる時間だった。
あとで聞いた話だが、今回の式にかかった費用は580万円ほどだったという。
決して安くはない数字だが、意外とこんな金額でやれるものなのか。とも思う。
あのゲストにもなかなか経験できない体験を提供し、世界中からの祝福、そして家族の深い喜びを考えれば、それ以上の価値があったと断言できる。
もし、私が今の記憶を持ったまま結婚式をやり直せるなら、迷わずこのような「神社での神前式」を選ぶだろう。
それほどまでに、ゲストとしても、家族としても、一生忘れられない体験になった。
妹よ、本当におめでとう。
光合成で生きていた小さな女の子が、最高の舞台で輝く姿を見せてくれてありがとう。
末永くお幸せに。